先日ヒロのスタッフ達でハワイのコナコーヒーの農園を視察してまいりました。
今回はその模様をご紹介したいと思います。初の海外取材編です。それでは!

ハワイでのコーヒー栽培の歴史は古く、そもそもは、あの有名なカメハメハ2世と関係があるといわれています。
時に1825年、ロンドンを訪れたカメハメハ2世夫妻と時のオアフ総督ボギ酋長は、はじめてコーヒーを口にしました。カメハメハ2世は、ロンドン滞在中に病に倒れ帰らぬ人となってしまいましたが、ボギ酋長がハワイへの帰途、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロに立ち寄ってコーヒーの木を手にいれました。
しかし、コーヒーの木をはじめて植えたオアフ島では、コーヒー産業を成功させることができませんでした。
それから、3年後の1828年、ある牧師がオアフ島からハワイ島のコナ地区にコーヒーの挿し木を持ち帰り、観葉植物として庭に植えました。すると、またたく間にすくすく育ち、これがハワイでのコーヒー栽培の始まりといわれています。

アメリカ合衆国で唯一のコーヒー生産地「ハワイ州」。
そのハワイ諸島で「ビッグアイランド」の愛称で呼ばれるハワイ島に、コーヒーを栽培しているコナ地区があります。
コナ・コーヒー農園は、マウナ・ロア山やファラライ山の裾野、海抜400〜800メートルの斜面に拡がっています。肥沃な土壌と昼の暖かい海風と夜に吹き下ろす冷たい山風の創り出す寒暖差と、まさにコーヒー作りに最良の条件がそろった地域です。

コナで栽培されているのは、最高級と呼ばれるアラビカ種のコーヒーです。コーヒー豆の特徴は、大粒で整った平形。適度な酸味は、すっきり爽快。また、コーヒーをたてた時の香りはひときわ高く、まるで南国の微風が漂うようです。
あの「トム・ソーヤーの冒険」などで知られる文豪マーク・トゥエインも絶賛したことで知られています。

豆の品質もさることながら、コナ・コーヒーの品質が高く評価される理由は、その栽培から精製までの過程にあります。
栽培は、手作業が主。木のせん定や肥料をやるのも、木の状態を確かめながら人の手で行われます。収穫時についても、赤く熟した実を一粒一粒手で摘み取っていきます。多くのコーヒー産地で、機械化が進んでいますが、機械では木や実の状態までは確かめることができません。
また、その一方で、近代的な生産技術も取り入れており、単位面積当たりの収穫量が多いのも特徴です。 コナ・コーヒーが高品質といわれ続ける理由は、こんなところにもあったのです。

コナコーヒーの原種は「アラビカ種ティピカ亜種」といい、一般的に 「アラビカ ティピカ コナ」又は「ハワイ コナ」と呼ばれていて、世界最高級コーヒーとして高く評価されています。 蝋状の青みがかかった緑色の大粒の豆は、焙煎すると柔らかな酸味と滑らかな口当たりを楽しめるコーヒーになります。 ハワイ島にあるフアラライ山とマウナ ロア山の西側斜面にコナコーヒーが栽培されてます。 この地区で栽培されるコーヒーのみがコナコーヒーと呼ばれ、そのグリーンコーヒー生産量は約900トンです。

コナコーヒーは最も理想的な栽培条件の元に育てられています。マウナ・ロア山やファラライ山の裾野、 海抜300メートルから800メートルの斜面を横切って走るママロホアハイウェイに沿って、「コーヒー・ベルト」と呼ばれる コーヒー農園が集まる一帯があります。このコーヒー・ベルトは、火山の影響を受けた肥沃な未開墾地の上に横たわっており、 土壌にはコーヒーの成長に必要な全ての栄養素が含まれています。また、穏やかな風、適度な気温、昼と夜の寒暖差(コナ地区のように、 比較的海抜の低い土地でも良質のコーヒーが栽培可能な理由は、昼は暖かい海風が、夜は山から冷たい風が年中吹き降ろしているからです)、 そして程よい降水量などコーヒー栽培にとって理想的な環境をつくり出しています。勿論、コーヒーの木の大敵である霜の降る心配もありません。

コーヒーの花は春に咲きます。甘い香りは束の間ですが、現地では別名「コナの雪」と呼ばれ、 白い花はほんの3日で散ってしまいます。残念ながら私たちが訪れた際には咲いていませんでしたが期間中、 花は次々に開花し、その8割が実をつけます。開花の時期が違うように、それぞれ熟す時期が違うので、赤く色づいた実だけを 一粒一粒手で摘み取っています。コーヒーの収穫期は9月〜翌年2月までの6ヶ月間です。

コーヒーカップ一杯分のローストしたコーヒー約10gを作るために、75ヶのコーヒーチェリーが必要になります。 一本のコーヒー樹で収穫されるチェリーは、平均で約2700ヶですから、コーヒーカップで36杯しか採れません。

収穫された真っ赤に熟れたコーヒーチェリーは、果肉除去機に掛けられます。その後タンクの中で一晩過ごし、 空気の触れて剥離したミューシレージと呼ばれる粘着質を水洗いし、きれいに取り除き乾燥行程に入ります。

この時のコーヒーは、パーチメントと呼ばれます。コーヒーを天日で乾燥させるとき、 湿り気のあるパーチメントは、特製の木の熊手で広げられます。 天候によっては、天日による乾燥は10日以上掛かります。その後乾燥済みのパーチメントは脱穀されて、緑色のグリーンコーヒーになります。 精選工場では、不適格品を取り除くために、グリーンコーヒーを比重、 サイズ、密度と何種類もの選別機にかけていき、それぞれの等級ごとに袋詰100ポンド(約45kg)します。 ハワイ州法によると、コナ地区から出荷される生豆のコナコーヒーは、 農務局の規格検査を受けなくてはならないと定められています。この袋詰が終わった時点で、 精選工場が農務局に連絡し係官が独自にサンプルを取って検査をし、規格をパスしたコーヒーに証明書を発行します。 しかし証明書には、コナで収穫されたと証明する原産地証明と、確かにこれはコナコーヒーの規格をクリアーしているとする 品質証明の2種類がありますから注意が必要です。

コナコーヒーの特徴は、そのユニークな酸味とコク、そして焼きあがった後の芳醇な香りといわれています。ヒロのロースターは、 その知識と経験からコナコーヒーの特徴を最大限引き出すための焙煎度合いは、フルシティーローストだと言う結論に達しました。 これより浅めの焙煎では、コナ本来の爽やかな酸味が鋭い舌に刺さる酸味になってしまい、これより 深い焙煎の場合は、コーヒーの苦味が強調されコナコーヒーがもつ特有のボディが消えてしまいます。

コク深く焼き上げられても味が負けないのは上質な豆のなせる技といえるでしょう。
豊かなコクと際だつ酸味を同時に楽しめるコナコーヒー。
店舗でも取り扱っておりますので是非一度おためし下さい!!