株式会社ヒロコーヒー採用情報

株式会社ヒロコーヒー外食アワード2015受賞

世界のカフェレポート World cafe report
 
アメリカの西海岸では今、「アンチ・スターバックス」とでも呼ぶようなウェーブが起きている。
「サード・ウェイブ」と呼ばれる地元コーヒーチェーンの台頭だ。

中でも今、最もその動きが顕著だと言われるのが人口60万人の地方都市ポートランドで、
本年(2012)アメリカのコーヒービジネスも 敏感に反応してSCAA最大のイベントが開かれるに至った。

サンフランシスコでもシアトルでもなくなぜ、今ポートランドなのだろうか?
「サード・ウェイブ」ショップのいくつかを見てその答を探ってみたい。
「スタンプタウン・ロースターズ」
ポートランド発祥のロースターは今やNYにまで店舗を伸ばし、サンフランシスコの
「ブルーボトル」と並んで「サード・ウェーブ」の中心と呼ばれる。

スタンプタウン本店は終日長蛇の列
 
終日にぎわうスタンプタウン
  この地元コーヒーチェーンは、ちょうど地元ビール店のような流行り方で、何と言っても地元住民のサポートの強さが特徴だ。
早朝や午後のコーヒーの時間には、外まで行列ができるほど。リテール(小売り)にも力を入れており西海岸スーパーの棚には同社のラインナップがズラリと並ぶ。
 
「パブリック・ドメイン・コーヒー」
ここは「スローカフェ」と呼ばれるカウンターでコーヒーを1杯ずつドリップしてくれることで有名だ。
ずらっと並べたカップにポタポタと香り高いコーヒーが落ちていくさまは、美しいほど。
そのコーヒーはすべて、豆の焙煎後48時間以内に入れられ、「風味が最高のポイントにある間」に飲ませるという。

人気のスローカフェコーナーは
一杯ごとのハンドドリップ
 
どのショップでもエスプレッソ・マシンの
2台使い分けが目立った
 
ダウンタウン内のショップは
洗練された印象
 
「コヴァ・コーヒー」
比較的ヒップな地区にあるが地元住民の指示は厚い。
製図台や旋盤、建築材を内装や家具に仕立てた店内で女性バリスタ達がラテアートを描く姿を見ていると遊園地にいる様な楽しさを憶える。
この他にも、小さな店だがいいコーヒーを入れて、多くのファンを抱えているところをいくつも見た。
ポートランダーはスターバックスの手慣れたコーヒーを飲むより、こちらの方のコーヒーを手にしたいと思う様だ。

ダブルハンドドリップは必須テクニックらしい
 
テーブル代わりの旋盤
 
比較的辺鄙な場所にあるが地域の支持は厚い

ポートランドコーヒーロースター…数年で年間500tの焙煎規模に
  自転車での宅配からスタートして現在では年間で500t近い焙煎量にまで拡大した「ポートランド・コーヒー・ロースター」で現在の地元コーヒーチェーンについて話を聞いてみた。

ここで感じたのは、多くの「サード・ウェイブ」がコーヒー豆を仕入れる原産地の人々と特別な関係を持ち、グリーンでフェアな産物を直接仕入れることにこだわりを持っていることだ。その豆を、熟練したロースターがていねいに焙煎し、厳しい訓練を受けたバリスタが最高の風味を出すように入れてくれる。オーガニックでグリーンで、手作りでこだわりがあり、それでいて肩が凝らない。

そういうコーヒーに、人々は引き寄せられているのだ。
 
店構えにも共通した点がある。
ガランとした飾り気のない店内で、暑苦しいソファや装飾のための絵画などはなし。ただし、そこにいる客たちがみなコーヒー好きで、そんな人々と一緒にいる居心地の良さがあるのだ。もちろん、客もみな、店に負けず飾り気のない、ポートランダーだ。
従来、アメリカのコーヒーと言えば、薄くてマズいコーヒーのことだった。それを変えたのが、スターバックス。イタリア仕込みのコーヒー店の雰囲気をアメリカ社会に持ち込み、大層な人気を得た。
ところが、その後の失敗は「マクドナルド化」だった。店舗展開を拡大し過ぎたため、どこに行ってもスターバックスが増え、その店内は一辺倒。相手をしてくれるのは、マニュアル的な受け答えしかしない店員ばかり。店内に香る匂いすら、どこに行っても同じになってしまったのだった。
 
コヴァ・コーヒー…しっかり空間がとれるのが郊外店の魅力
 

ウォーター・アヴェニュー・コーヒー…
女性バリスタの比率が高いのも特徴としてもよさそうだ
  今でも、朝の1杯のコーヒーをスターバックスで買うビジネスマン、ビジネスウーマンはとても多く、町中のスターバックス店はどこも相変わらずにぎわっている。

だが、その一方で、人々のコーヒーの味や仕入れ方法に対する意識は強くなり、それを客と共有してくれるような新たな店が共感を呼んでいる。
拡大主義に対する抵抗感もある。そんな心情が、コーヒーの最先端地であるポートランドでもっとも顕著に見られるようになったというわけだ。食に人々が求めるものは、ずいぶん変わってしまった。高くてゴージャスなグルメよりも、手頃だけれどもおいしく、しかもグリーンでフェア、そんなものが等身大に受け入れられているのだ。一杯のカップの中に込められた時代の姿。そんなことを感じさせるポートランドの地元コーヒーのムーブメントだ。
 

ハート・コーヒー….
こちらもダウンタウンにある有名店
 
マウント・フッド・コーヒー…
熱弁中のアップルゲート氏は地元の名士
  最後にポートランド市街から離れた所にある「マウント・フッド・ロースターズ」の店主に聞いた一言を紹介したい。

 「スタンプタウン・ロースターズはSTUMPTOWN(切り株だけの町=ポートランドの別称)にあるから良かったんだ。NYに行くべき じゃなかった
 

そこかしこで見れたKEEP WEIRDの看板
  ポートランドには”Keep  Weird”(偏屈者でいこう)という言葉がある。
マイノリティなものに付加価値を見出すWeirdなポートランダー達の気質に見事にマッチして拡大した「サード・ウェイブ」。

マニュアル化に退屈してマジョリティと対極のものを探し始めた世界のコーヒー市場が今後辿る未来図が重なって見えてくる。
  ヒロコーヒー
焙煎責任者 山本光弘
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