株式会社ヒロコーヒー
CSR委員会 林美花

日本コーヒー文化学会主催、JICA関西(独立行政法人国際協力機構 関西センター)と株式会社ヒロコーヒーの協力のもと、新大阪江坂東急REIホテル3階ウッドルームにて、「珈琲を楽しむ会」を今年も開催することができました。
今回は約150名の方にお集まりいただきました。今回は「コーヒーのあしたを考えよう。サードウェーブからフォースウェーブへ」をテーマとして、多様な関係者の皆様にご登壇いただきました。小雨が降る中ではありましたが、ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました!以下、簡単にレポートさせていただきます。

※ムービーは音が出ます。

 

■第一講座「コーヒーの今。」
株式会社ヒロコーヒー CSR委員会 林美花

コーヒーのあしたを考えるにあたって、まず、コーヒーがたどってきた道を改めてご紹介させていただきました。ファーストウェーブとして1960年代、大量生産・大量消費が一般になりました。
カプチーノやカフェラテが普及した1990年代のセカンドウェーブ、抽出方法が多様化し、美味しさが追求され始めた2010年代のサードウェーブと続きます。
そして、いまからがフォースウェーブ!!
高品質なコーヒーを「宅飲み」(自宅消費)する時代となっていきます。レギュラーコーヒーが家庭で飲まれる割合は30年で約1.5倍!

そんな成長を見せている「宅飲み」ですが、この宅飲みが増えるに従って、重要なことは何でしょうか?それは、「コーヒーの見える化」と「健康に役立つこと」です。コーヒーの見える化とは、どこで作られ、どのような工程を経て、消費者の元に届いたのかという生産履歴が明確にわかることです。それが分かるコーヒーとしてよく耳にするのが、「サステイナブルコーヒー」であり、環境にも配慮しているコーヒーの総称としてよく知られています。 また、家で飲むコーヒーは美味しいだけでいいのでしょうか?近年、新聞にも取り上げられているコーヒーと健康の関係性はいまや欠かせないものです。 さて、この2つのテーマを次の講座でお楽しみいただましょう!

■第二講座「生産を担う人々のお話。」
JICA関西(独立行政法人国際協力機構 関西国際センター)
横谷貴美絵様
メヒア ミランダ ルディ オマール氏
トロチェス トレホ エクトール氏
ヘルナンデス マリッツァ エリザベス氏
ドミンゲス マイケス アベル アルフォンソ氏
ピネダ ロベス セシリア イツェル氏
カルデロン ランダヴェルデ ロスビング ヘスウス氏
ガルダメス カルバハル ホルヘ アントニオ氏

JICA関西(独立行政法人国際協力機構 関西センター)のご協力で、今年はホンジュラス国よりコーヒー生産に関わる7名の方にお越しいただきました。まずはJICA関西の横谷様よりJICAの活動についてお話しをいただき、その後、JICA研修員の7名の方に、生産に関わることを、ホンジュラスの文化、経済的問題点やその取り組みも合わせて、お話いただきました。

ホンジュラスは中米にあり、グァテマラ、エルサルバドル、ニカラグアと国境を接しています。
朝食では、豆やチーズ、卵、鶏肉、キャベツなどをトルティージャに包んで食べるのが一般的です。名物料理は「マタル」。とうもろこしの粉とチーズ作ったロスキージャというパンも人気です。
昔ながらのコーヒーの飲み方は、チェスパという薄い布を使っていれる方法で、焙煎はトルティージャを焼くかまどで焙煎します。 ホンジュラス国ではコパン、オパラカ、モンテシージョ、コマヤグア、アガルタ、エルパライソという6つの地域に分かれてコーヒーの栽培が行われており、その92%ではシェードツリーを使った栽培が行われています。農園のうち92%が小規模農園であり、大規模農園はわずか1%です。

コーヒーは、種から育てられていきます。発芽するまで45日、苗ができるまで6ヶ月から1年、苗を農地に移し、2年から3年で初めて収穫を行います。収穫は十分に熟した実だけを手作業で摘んでいきます。その実を精製の行程で果肉を取り除き(パーチメント)、湿度が12%になるまで乾燥させ保管します。輸出前に脱穀して出荷の準備をします。消費国では、輸入の手続きが行われ、焙煎されて消費者の好みに合わせた形で販売されます。
本日のメンバーはコーヒー生産の中でもそれぞれに違った分野の仕事に従事しています。セシリア イツェル、ルディ オマールは東西地域で生産者への技術指導を行っています。アベル ドミンゲス、ロスビング カルデロン、ホルヘ ガルダメスはコーヒーの生産者であり、自社のブランドを高める活動やコーヒー商品の開発、生産者組合の運営を行っています。エクトール トロチェスとマリッツァ ヘルナンデスはホンジュラスコーヒー協会HICAFEで全国のコーヒーの品質管理を担当しています。
ホンジュラスでは、コーヒー生産は農業GDPの32%、国全体GDPの5%を占めています。世界で5番目にコーヒー生産量の多い国で、年々生産量は増加しています。主な輸出先は、ドイツ、ベルギー、アメリカで、日本はアジア4%の中に含まれています。2011年以降、気候変動により、日本への輸出量は減少傾向にありましたが、環境対策により再び輸出量が戻りつつあります。スペシャルティーコーヒーの輸出量も、コーヒーの品質の保持や改良に取り組みが功をなして、増加がみられます。
しかしながら、輸出競争力を強化するためには、いろいろな問題があります。生産コストを下回る販売価格であること、商品化戦略がないこと、気候変動や差別化されたコーヒー市場へのアクセスが難しいこと、後継者がいないことです。コーヒー協会IHCAFEはこれらの問題に対し、生産性の向上、世界市場への認知度アップ、新品種の開発、コーヒー高等学校(ESCAFE)を作るといった取り組みを行っています。
また、付加価値をつけるために、コーヒーを使った様々な商品を開発しています。コーヒーワイン、コーヒージャム、コーヒーシャンプーなどの化粧品類は国際市場の低価格問題に対応するための一つです。将来的には販路を広げ、ホンジュラスのコーヒーの競争力を高めていきたいです。
さらに、国内の機関や国際協力団体がプロジェクトを実施しています。その一つとして、スイスの国際協力団体で、組合体制の強化、技術競争力の強化、ビジネス能力の強化のプロジェクトの実施が東部地域で行われています。

様々な問題を抱えながらも、いろいろな方法でコーヒーの競争力を高めようとしている真剣な姿が見えました。少しでも彼らを応援していきたいですね!

■コーヒーブレイクタイム

今回はホンジュラスの6つあるコーヒー生産地域のうち、コパン地方・エル パライソ地方・モンテシージョ地方・コマヤグア地方とモンテシージョ地方から持ってきたいただいた特徴あるコーヒーと、ヒロコーヒーが取り扱っているホンジュラスCOEのコーヒーの計5種類を味わっていただきました!
明るい酸味が感じられるコーヒーでしたが、それぞれの個性がはっきりわかる美味しいコーヒーだったと感想をいただきました。

■第三講座「コーヒーと健康・くすりとちがう健康への寄与 」
東京薬科大学名誉教授 岡希太郎氏

コーヒーには「薬」を超える何かがある。これを証明するために、1950年から疾学研究が始まり、「コーヒーは病気を予防する」という発表が相次ぎました。
例えば、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患での死亡リスクは、コーヒーをほとんど飲まないと答えた人より、コーヒーを1日3〜4杯飲むと答えた人の方が約半分になります。また、コーヒーは心臓病、脳卒中、2型糖尿病、アルツハイマー病の原因疾患、慢性肝臓病の悪化、一部の臓器の発がんの悪化を予防することも証明されています。
ここで紹介したような様々なコーヒー疾学研究データを加えることによって、コーヒーは今考えられる最強のがん予防法とも言っても過言ではありません。朝昼晩で1日3杯!コーヒーは健康に役立つのです。

コミカルな岡先生の話で、会場は笑いに包まれました。いままで気になっていたコーヒーと健康の関係性、とてもわかりやすかったです!

■パネルディスカッション
ホンジュラス研修員の皆様
株式会社ヒロコーヒー 代表取締役 山本光弘氏
日本コーヒー文化学会常任理事 株式会社富士珈機 代表取締役 福島達男氏
日本コーヒー文化学会出版編集委員長 珈琲と文化編集長 星田宏司氏
日本コーヒー文化学会副会長 東京薬科大学名誉教授 岡希太郎氏
日本コーヒー文化学会会長 金沢大学名誉教授 広瀬幸雄 氏

ここでは皆様からの質問を数点取り上げさせていただきました。(以下、敬称略)

Q1,第4の波について、どのように考えられていますか?

A1,今後、生活習慣とIOTやAIの組み合わせが当たり前になり、より便利にコーヒーが作られるようになる。コーヒーの飲み方や嗜好は多様になる中で、コーヒーの風味や香りを各個人のイメージに合わせられるような器械を作っていきたい。(福島)

Q2,ホンジュラスの方(生産者)が消費者に求めることは何ですか?

A2,できるだけたくさんホンジュラスのコーヒーを飲んでほしい。需要が多くなり、供給が追いつかない時代になると言われているが、我々は供給量を上げるために、一区画の生産量を上げていく。ホンジュラスのコーヒーの1セントでも多くお金を出してもらえれば、技術改良もより早く進めることができる。(ホンジュラス研修員)

Q3,コンビニコーヒーの普及をどう捉えていますか?

A3,コンビニコーヒーの利点は、いつでも手軽に作りたてのコーヒーを飲めることだ。場所や時間に縛られないので、よりコーヒーに馴染み深くなるきっかけとなってほしい。(山本)

Q4,妊婦さんでもコーヒーを飲んでいいのでしょうか?

カフェイン300mgくらいまでは影響がないと言われている。
過剰に敏感になる必要はない。(岡)

全てお答えすることができませんでしたが、たくさんご質問いただき誠にありがとうございました!

■最後に

普段知る機会の少ないコーヒー生産国の話を、コーヒー生産に関わる方々から直接聞くことができることが「珈琲を楽しむ会」の醍醐味ですが、今年は多くのホンジュラス研修員の方にお越ししただき、ホンジュラスのことをより深く知ることができました。彼らの文化や伝統を知ることによって、コーヒー生産の話をよりイメージしやすくなったのではないかと思います。これからコーヒーを選ぶ時には、きっと彼らの顔が思い浮かびますね!
一方で、コーヒーの生産国が抱えている問題もひしひしと感じました。「価値に見合った適正な価格でコーヒーを購入し続けること」これが彼らを応援するために、また、サステイナブル(持続可能)にコーヒーを楽しむために、私たちにできることだと感じました。

まだまた知らないことはたくさんあります。少しでも皆様に知っていただくために、私たちもこのような機会を作り続けていきます。最後に、このイベントに関わっていただいた全ての関係者の方々に感謝し、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!